デザイナーの坂井にとって、デザインのインスピレーション源はファッションだけでなく、建築やアンティーク家具、香水瓶、紙袋と幅広い。その一つに幼少の頃から描いていたクルマがある。フォルムやディテール、外装と内装の配色や素材使い。クルマから当時のライフスタイルの影響を受けた。全体が金属製というのも、金具にこだわる性質のベースになったと話す。
「父親がクルマ好き。赤ん坊の頃、よく遊んでいたおもちゃが、ベンツのミニカーだった。おもちゃとして普通なら最初に触るであろうプラスチックやゴム製のものではなく、金属の質感と、ミニチュアながらもフォルムを纏った“デザイン“というものに図らずも触れていた」。3歳になった頃には、通りを走っているクルマの車種をすべて言えるようになっていたという。