美しい真鍮が生まれる現場を訪ねて。 Visit to the Factory of Brass Products

〈TOFF&LOADSTONE〉を表すアイコニックな存在、真鍮の金具。
美しくもオリジナリティ溢れる真鍮は、どのように生まれるのかーー。
昔ながらの製法を貫く鋳造所を訪ねた。

鋳造という技術で作られる真鍮鋳物。鋳造は溶かした金属を液体にして型に流し込み、冷やして固めて形作るもの。「鋳物」と呼ばれるものは、すべてこの技術によるものだ。
カーブや厚み、複雑なデザインが特徴でもある〈TOFF&LOADSTONE〉の真鍮デザインを叶えてくれる技術と場所は、もはや日本でも数えるほどしかないと言われている。 石膏や金型や砂など、さまざまな鋳造技術がある中で、歴史的にも古い「砂型手込め鋳造」という技法がある。

その技法はベースの土台づくりから始まる。機械を使わず、職人が彫刻刀を使って手作業で作る「木型」を上用と下用の2つ作り、砂を固めて形成した砂型に溶かした金属を流し込む。芯棒と木型のあるところ以外は空洞になる。いわば、たい焼き機のようなイメージだ。
一見脆弱に見える砂型だが、なぜ砂を使うのかというと秘密は溶解温度にある。真鍮の溶ける温度はおよそ1250度と言われているが、鉄は1500度くらい。例えば、亜鉛やプラスチックを作るには低い温度で溶けるので、鉄の金型でもよいのだが、溶ける温度がほぼ変わらない真鍮は、鉄の型があっと言う間にダメになってしまう。
とすると絶対溶けない砂を使うしかない。そうやって、古くから砂型手込め鋳造は継承されてきた技術でもある。 だが溶けない反面、崩れやすいので、毎回型を砂で作らなければならない手間もある。

工程の肝と言えるのが「見切り」と呼ばれるもので、この作業がすべての鋳物を決めるといっても過言ではない。
木枠の中に形にしたい鋳型を入れ、その周りを砂で敷き固め、鋳型の表面が上下の型に収まるよう砂を削っていく。少しでも砂がかぶっていたり、多かったりするだけで型が崩れてしまうので、ほんのわずかな量でも砂をかき出し、整地する必要がある。
これこそが職人技といえる繊細かつ高度な技術であり、絶対崩れないと言い切れるところまで少しずつ丁寧に作業していく。また、湯(溶けた金属)がしっかりと行き渡るべく、注ぎ口や通り道を考慮しながら砂型を形成していく。

その後、ガス炉の中で真鍮を溶解し、不純物を取り除き純度を高め、縦に並べられた砂型に一つずつ湯を流し込む。注湯後、30分ほど冷やして製品を取り出す。最後は専任の職人の手で丁寧に磨きをかけて完成となる。
高い技術と手間暇が求められる反面、一つの砂型からできるのは数個から数十個。砂型手込め鋳造は決して効率が良いとはいえないが、そこには、機械では成し得ない有機的なフォルムや味わいが存在する。
〈TOFF&LOADSTONE〉が作りたい真鍮もまた、手作業でしか生み出せない絶妙なカーブを持つ美しいデザイン。金具として真鍮がいいというよりも、ここまで複雑な形やデザインにこだわった真鍮金具を作れる場がある、それも伝統的な技術によって実現できる。それこそが真骨頂といえるだろう。

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